遺言対象財産と未処分財産を区別する
相続実務では、遺言書に従った手続きを開始した後に、遺言書に記載されていない預貯金、有価証券、不動産などが判明することがあります。
この場合、まず確認すべきなのは、単に「財産名が書かれていない」ということではなく、その財産について遺言による処分がなされているかどうかです。
遺言書全体の内容を確認し、後から判明した財産が包括的な条項に含まれるのか、それとも遺言による処分がなされていない財産なのかを整理します。
「その他一切の財産」条項の有無を確認
例えば、
「遺言者の有するその他一切の財産を甲に相続させる」
という条項があれば、個別に列挙されていない財産についても、その条項によって処理できる可能性があります。
したがって、後から財産が判明した場合に、直ちに遺産分割協議が必要と判断するのではなく、遺言書全文を確認することが重要です。
遺言による処分がない財産への対応
包括条項などがなく、後から見つかった財産について取得者が指定されていない場合は、その財産について相続人間で遺産分割協議を行うことが考えられます。
実務上は、既に完了している遺産分割をすべてやり直すのではなく、新たに判明した財産のみを対象とした「追加の遺産分割協議書」を作成する方法があります。
例えば、
「被相続人名義の○○銀行○○支店普通預金については、相続人甲が取得する」
など、新たに判明した財産を特定して合意内容を書面化します。
既存の遺産分割協議書も確認する
遺言書とは別に、すでに遺産分割協議書が作成されている場合は、その末尾条項なども確認します。
実務では、
「本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については甲が取得する」
といった条項を設けることがあります。
このような条項がある場合には、その文言や対象範囲を確認したうえで、新たな協議書作成の要否を判断します。
不動産が後から判明した場合
後から判明した財産が不動産の場合は、遺言書や遺産分割協議の内容を整理したうえで、相続登記も必要になります。
相続登記は義務化されていますので、「価値が低い土地だから」といって名義をそのままにしておくことは適切ではありません。
司法書士とも連携しながら、必要な登記手続きを進めることが重要です。
預貯金・有価証券の場合
預貯金や証券口座が新たに判明した場合は、金融機関や証券会社に対し、追加の相続手続きを行います。
金融機関ごとに必要書類が異なるため、
・戸籍関係書類
・印鑑証明書
・遺言書
・遺産分割協議書
・金融機関所定の相続届
など、何が必要になるかを個別に確認します。
遺言・協議書作成時に将来の財産判明へ備える
遺言書や遺産分割協議書を作成するときには、現在把握している財産だけでなく、将来新たな財産が判明する可能性を想定しておくことが重要です。
適切な包括条項や後日判明財産に関する条項を設けておくことで、相続人全員が再び署名・押印する負担を避けられる場合があります。
アーク行政書士事務所では、
・遺言書の内容整理
・相続人、相続財産調査
・財産目録の作成
・追加の遺産分割協議書作成
・金融機関等の相続手続き支援
・司法書士、税理士等との連携
により、相続開始から財産承継完了までサポートしています。
相続手続き後に新たな財産が判明した場合も、個別の状況に応じた手続き整理が重要です。
